Cell-Based Assay ワークショップ(CBA-WS)
発足趣意書
リード化合物から医薬候補化合物を選択するための新しい最適化技術が求められています。Cell free系が盛んに利用されている中で、Cell-Based Assayを用いたin vivoに近い創薬スクリーニングの開発が望まれています。創薬プロセスには細胞や培養装置が安価な創薬スクリーニング手法(1)と医薬候補化合物を最終的に選択する創薬スクリーニング手法(2)の二段階のスクリーニング法の確立が必要です。メディシナルケミストが合成するする多数検体をスクリーニングするためには、低コスト、迅速性、操作性の優れたアッセイ法も重要となります。創薬スクリーングにおけるコストは、使用する細胞の価格に依存するため、低価格のHep-G2細胞を高機能化する人工染色体技術の採用が有力と考えます。一方、新規なアッセイ技術を開発するにあたり、従来、細胞は細胞、培地は培地、培養基材は培養基材として別々に開発されるため、真に有用なスクリーニングの構築に至っておりません。細胞の取得・輸送・プレカルチャー・アッセイへと繋がる評価の流れが、研究者目線で最適化されていない点が課題として挙げられます。また、プレート上に播種された細胞の機能に着目すると、代謝活性は調製直後が最も高く、時間と共に活性が低下することが知られております。一般的な肝細胞は、嫌気的条件下での培養によりATP産生量が低下して酵素活性の低下が起こることから、好気的条件での培養が望まれます。
これらの問題点を解決するため、新規機能性培養基材を活用したHepG2細胞、HepaRG細胞、PXB細胞、ミニブタ肝細胞、ヒト肝細胞などの各種肝細胞(またはそれらの共培養)に最適化したアッセイツールの開発が急務であります。最終的には、医薬候補化合物を効率的に選定するスクリーニング系の構築が求められています。
かかる状況下、ディ・スリー研究所は、過去21年間の若手研究者の育成と新技術の習得に向けたセミナーを開講してきた実績をもとに、2021年4月からCell-Based Assay ワークショップ(CBA-WS)を立ち上げたいと考えております。アドバザリーボードメンバーとして別紙記載の4名の大御所の先生方からの大所、高所からのご意見を賜りますと共に、毎回に1)アドバーザリーボード先生の講演、2)アカデミアの先生方から最新の研究情報を提供して頂くとともに3)、製薬会社研究者から細胞培養系での研究成果を報告していただきます。おしまいは、4)細胞および培養技術の開発、培養液の改良などに注力する会社からの情報も提供していただきます。本会はクローズの会でディ・スリー研究所セミナー契約会社の研究者を中心に培養新技術の知識の習得のみならず、若手研究者の育成、アカデミアとビジネス現場との橋渡しをする議論の場として活用いただけると幸甚です。
2021年4月1日
ディ・スリー研究所
代表取締役所長 堀江 透
開催概要
【開催日程】
2021年4月開講、3か月に1回の割合で開催(リモート会議あるいは合宿)
第1回CBAワークショップは2021年5月10日(月)13:00 ~ 17:15 にリモート(CISCO WEB)で開催致します。
※各回、開催の日時は1か月前頃迄にご案内致します。
【参加資格と参加費】
ディ・スリー研究所セミナー会員登録会社および招待者
リモート会議の参加費は無料
合宿は参加費3万円を予定しております(宿泊費、懇親会費、会議費、などを含む)
【参加申し込み】
ワークショップ参加申込書のダウンロード(Word 43KB)
申込書の送付先:d3jimu@d3researchlabo.com
50名に達し次第締め切ります。
【CBAとワークショップの概要】
CBAとワークショップの概要のダウンロード(PDF 601KB)
【アドバーザリーボードの先生方】
● 押村 光雄 先生
「人工染色体導入技術」を開発した(株)Trans Chromosomics代表取締役社長(鳥取大学名誉教授)。現在、染色体工学技術の開発及びヒト人工染色体を用いた医療・産業応用に向けた研究及び事業化を進めております。
● 吉里 勝利 先生
ヒト肝細胞をマウス体内でほぼ100%に置換したキメラマウスを作製した大阪市立大学医学研究科特任教授(元(株)フェニックスバイオ学術顧問、広島大学名誉教授、自治医科大学客員教授)。先生は今でも、研究現場で新しい培養装置を開発されております。
● 紀ノ岡 正博 先生
大阪大学大学院工学研究科生物工学専攻 生物プロセスシステム工学領域 教授。iPS細胞や間葉系幹細胞の培養系の構築にご尽力され、再生医療の本格的な臨床研究を進めております。
● 桜田 一洋 先生
国立研究開発法人 理化学研究所 情報統合本部 先端データサイエンスプロジェクト プロジェクトリーダー (元日本シエーリング(株)・バイエル薬品 執行役員・取締役、ソニーサイエンス上席研究員)。日本シェリング・バイエル薬品の神戸研究所で初めてヒトiPS細胞を開発したことで知られています。
第1回 CBAワークショップ プログラム (プログラムのPDF ダウンロード)
13:00~13:30 Cell Based Assay Workshop研究会発足にあたって
堀江 透
ディ・スリー研究所代表取締役所長
13:30~14:15 招待講演
「チトクロームP450(CYP)の発見の経緯
ー出会いと偶然そして高い志―
大村 恒雄 先生 九州大学名誉教授
14:15~15:00 アドバイザー講演
「ヒトiPS細胞構築の研究の経緯とその後の問題点(特に再生医療への利用など)」
―ヒトiPS細胞を世界で初めて作製したー
桜田 一 先生
国立研究開発法人 理化学研究所 情報統合本部 先端データサイエンスプロジェクト プロジェクトリーダー
(元日本シェリング(株)・バイエル薬品執行役員・取締役)
15:00~15:30 アカデミア講演
「ヒト肝細胞キメラマウスを用いたin vitro/in vivo体内動態予測とその展望」
佐能 正剛 先生
和歌山県立医科大学 薬学部 准教授
15:30~16:00 アカデミア講演
「薬物性肝障害発症機序に基づいたin vitro肝毒性評価モデルの構築」
竹村 晃典先生
千葉大学大学院薬学研究科生物薬剤研究室 助教
16:00~16:30製薬企業
「新規培養基材コラーゲンビトリゲル培養器を用いたPXB細胞(ヒト肝細胞)におけるヒト肝クリアランス予測」
渡 隆爾先生
エーザイ株式会社 メディスン開発センター BA機能ユニット
グローバル薬物動態研究部 薬物動態研究室
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻
16:30~17:00 企業講演
「高酸素透過性培養容器の開発」
松木 智昭 先生
三井化学株式会社 機能性ポリマー事業部 開発グループ プロジェクトマネーシャー
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